TOP2005年記録

標高は低いが侮れない

越後/金城山 高棚川左岸尾根 (雪稜)

今野

【日時】2005年1月8日〜10日
【メンバー】佐貫(L)、大野(SL)、平田、笹川、矢野、今野


 「落ちても即死しない程度の越後の山」と、ローレライ・佐貫の妖しい歌声に誘われて、行ってみればやっぱり雪庇と空の境がないホワイトアウトのナイフエッジ。
1日目
 塩沢駅前に大野号を止め、降雪の中、ジャンボタクシーに乗り込む。清水集落の端で降りると、もうそこからワカンの世界。
 樹林の中で尾根に上がり、膝から腿のラッセルを続けると次第に尾根は痩せて来る。
 一瞬青空が覗くが、すぐに小雪に戻る。藪に遊ばれながら900mを超えると、尾根は更に痩せ、幕営適地がなかなかない。右に伸びる支尾根を少し降り、快適な場所にテントを張る。
 夜は快晴。月がなくても星明りで山がほの白く見えるのに感動する。各種アルコールが並ぶテント内は乾燥し、快適だが、「これを越後の雪山と思ってはいけない。」とローレライが歌う。
2日目
 小雪の中を出発。高度を上げるにつれ、風雪が強まり、やがてナイフエッジが続くようになる。
 雪庇は概ね右側に伸び、左が急斜面。時折、ガスが濃くなり、視程が2mくらいになる。雪庇の踏み抜きが怖いが、空との境界が見えない。笹川さんは雪庇確認紐を投げて末端を確認しながら進むが、反対側に寄ると雪崩が怖い。
 ずっと空身ラッセル。6人いるのと、大野、笹川、矢野が特に強力なので助かる。これが4人だったらかなりしんどいだろう。
 晴れていれば雪稜が綺麗に違いないが、あいにくの天気。標高が1000mちょっととは言え、冬型がきつい中でこういう場所にいるのは、ちょっと、いや、かなり怖い。
 何度かザイルを出しながら進むと、巨大な雪庇が張り出すイワキ頭の下に到着。大野トップで広い急斜面を登る。雪庇が崩れないようにと祈りながら超えると、目指す金城山は目前のはずだが全然見えない。
 なおもナイフエッジをしばらく進むと、ガスが薄れ、金城山避難小屋の屋根が見え、ほっとする。
 小屋には入れず、山頂で幕営となる。湿雪で覆われたテント内は酸欠と湿気で不快だが、大野さんと佐貫さんは「まだまだ越後の雪山らしくない」と、ご不満な様子。
3日目
 明け方、潰れかけたテント内で「息ができない!」と平田さんが飛び起きた。
 降雪は一晩で60センチくらい。のっけから北面が岩壁となった稜線の急な南斜面をトラバース。「ザイルが欲しい」と思う所も、越後の雪にかけては今やエキスパートとなった佐貫さんがノーザイルで道をつける。
 途中、北に90°折れる地点の赤布を見落とし、引き返す。急斜面を下り、気持ちの良いブナ林を抜けると長崎尾根。これもまたきれいなエッジ。次第に南側の藪がうるさくなるが、左は壁の上に雪庇が張出し気が抜けない。時折足元に亀裂が走り、雪庇が落ちる。
 予報では「昼前から一時晴れのち雷を伴う雪」。徐々に青空が広がり、町の上の雲海を見ながらの下りとなる。
 最後まで藪に苦労しながら、快晴となった長崎集落手前に降りる。橋が見当たらない川をワカンのまま徒渉して集落に入った。
 体力的に不安なおじさんを心身共に支えてくれたメンバーの皆さんにに感謝します。

【行程】
1/8 (清水)8:40〜13:00(930m付近)〜15:30(1196m直下幕営地)
1/9 (幕営地)6:30〜9:15(主稜線)〜14:10(金城山) 途中ザイル4回使用
1/10 (金城山)6:35〜14:00(長崎)
【地図】巻機山、六日町